鈴木と書いて りんもくと読ます

文章書く習慣付けるためのブログ

ホラーの芽

子供の頃はなにもかもが怖かった。

 

夕方、物置の扉がわずかに開いていたとき、そこから誰かが覗いていたらと想像して怖くなった。

夜の障子に映る木の影が、なにか得体の知れないものに見えたこともある。

寝ているとき、頭からつま先まで布団をかぶって眠った。なにかに足首を掴まれないように、枕元で自分の顔を覗き込まれないようにするため。

 

大人になるにつれ、その感覚は鈍感になっていった。あの怖さはなくなったのだ。

何かに怯えるようなことはもうない。

 

でも、時折ふと思う。

気にしなくなっただけで、

あの暗がりに、扉の隙間に、視界の端に。

まだ、なにかいるのかもしれない。