鈴木と書いて りんもくと読ます

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ホラーの芽

夜中の2時、部屋を真っ暗にして部屋の中から窓を4回ノックする。ノックが返ってきたら成功。その窓の外には幽霊がいる。という話を友人から聞いた。

そんな話を聞いてしまったので、さっそく試してみることにした。

 

夜中、真っ暗な部屋の中でスマホの時計を確認する。

 

【01:56】

 

もうすぐ2時を迎える。

カーテンの閉まった窓の前に棒立ちで待機する。

こんなことをしていてなんだが、怖いのでカーテンを閉めたままやることにした。

時間を確認するためのスマホの明かりだけが暗闇の中で浮かんでいる。時間になったらスマホの明かりも消さなくてはならないので、少し不安になった。

 

【01:59】

 

後1分。

時間が迫ると恐怖心が強くなった。段々なんでこんなことをしているのだろうと嫌になってくる。

だったらやめればいいのだが、自分の中でやめる選択肢は無くなっていた。

 

【02:00】

 

数字が変わった瞬間スマホの画面を黒くする。

部屋はちゃんとした暗闇になった。

左手でカーテンを窓ガラスに押し付ける。

一瞬不安がいっぱいになり体が止まる。

全身が強張っていた。

空気をいっぱいに吸って息を吐く。

右手でカーテンと密着した窓ガラスを叩いた。

『コン、コン、コン、コン』 カーテン越しにノックをしたため、くぐもった音が鳴った。

 

数秒耳を澄ましてみる。

 

……返答はない。

 

ため息が出て体から力が抜けた。

不安から開放されると同時になんだが残念にも感じて

 

『コン、コン、コン、コン』

 

もう一度ノックした。

 

「コン」

 

心臓が跳ねる。

何処かから音がした。

静かだからか、だいぶ大きな音に聞こえた。

慌てて窓とは反対側にある部屋の明かりのスイッチを押すと、光が部屋中を照らした。眩しくて顔をしかめる。

光に慣れて目を開けると

 

部屋には何もいなかった。

 

気の所為だったのだろうか。

 

でも確かに聞こえたはず。 何が音の原因だったのか。

ベッド、机、椅子、本棚、部屋を順に見回す。

最後に窓全体を視界に捉えた時、違和感があった。

ちゃんとカーテンで閉じられているはずだったのだが、カーテンの間が捲れて窓ガラスが見えた。 気づいた瞬間、体が固まる。

 

僅かな隙間から映る外の暗闇の中に1つの白い点が浮かんでいた。

 

目だ。

 

限界まで見開いたかのような目が自分を見ていた。

そこからは感情が読み取れない。

 

慌てて捲くられたカーテンを直す。

心臓の音がしっかりと聞こえる。

確かにいた。幽霊がいた。でも、アレは外にいるから大丈夫。

 

「コン、コン、コン、コン」

 

何がノックだ。

 

耳元で確かに聞こえた。

歯を鳴らす音が。